フランスでのモラル療法の流れ 「道徳療法―心の鎖をときはなつもの/アンリ・バリュック」
『力動的精神療法』で高橋哲郎先生が自らの治療のあり方の原点としてモラル療法(この本のように「道徳療法」と訳されることが多いが、ニュアンス的には moral は「こころの」という意味もある)を挙げていたので読んでみました。
いわゆるモラル療法の流れを追った著作ではなく、著者がシャラントン国立病院に赴任して、患者から重症を負わされたりしながらも、電気ショック療法、インシュリンショック療法などに反対し、人道的処遇を求めてる経過が記載されています。
1950年と向精神薬開発以前の古い本なので、今だったら当然脳内化学物質で説明されるような部分がホルモン異常で説明されていたりして、シオドア・スタージョンのSFなんかもこういった精神医学上のトレンドを反映していたのだなと改めて思いました。
道徳療法―心の鎖をときはなつもの (1957年) | |
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