タヴィストック・クリニックの思春期青年期の臨床の成果をまとめる。最近、思春期青年期にあるクライアントの方ともお会いする機会ができたので、思春期に適応したプレイフルなクライニアン的アプローチには興味を惹かれます。
ただ、訳が直訳調でこなれていないのは残念。特に会話の部分。例えば
意味は通じるにしても、こんなふうに話す人がいる?「クリニックが大学から遠いので、授業をたくさん休まなければいけないんです」でよいのでは。
クリニックと大学の間の移動が困難すぎて、あまりにたくさんの授業を欠席せざるを得ないからです。(p.54)
事例と同じ年齢の人にせりふだけ読んでもらったら、こういう不自然さはすぐわかると思うんだけど。
- p.25 「青少年が神秘化をする傾向」と訳しちゃうと、オカルトにはまってるとしか思えない。多分 mystification なんだから、「若者らしい韜晦の傾向」でいいんじゃないの?韜晦(とうかい)なんて言葉知らない、というのだったら「若者らしい本音をごまかす傾向」くらいかみ砕いても良いでしょう。
- p.27 イギリスのロックバンドが出した最初のアルバムにある言葉・・・「多分、確かに」・・・このバンドって何? "maybe for sure"だったらブロンディだけど、あれはニューヨークのバンドだしね。
- p.87 「枯草熱」というとどうしてもスタニスラフ・レムを連想してしまいます。もう「花粉症」で良いのでは。
思春期を生きぬく―思春期危機の臨床実践 | |
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