カミュ『よそもの』 きみの友だち/野崎歓

 これもサルトルの『むかつき』と同じみすず書房の抄訳+評論シリーズ。カミュの "L'etranger" 。英訳では "The Outsider" 既訳では「異邦人」だけど、確かに「異邦人」では高尚すぎ。
 僕にとっては原書で読んだことのある数少ないフランス文学のひとつ。後はバタイユ「青空」、サンテグジュペリ「星の王子様」(これも野崎訳で「ちいさな王子」として新訳がでてますね。)、ルブランのリュパンもの。そんなところかな・・・
 バタイユといえば「眼球譚」も「目玉の話」として新訳が出ているようですね。「よそもの」「むかつき」「訴訟」あたりは改訳を支持するけど、「眼球譚」はね・・・生田耕作訳にはやっぱり思い入れがありますね。
 高校生の頃に読んだときはフランスの植民地時代のアルジェで、植民地支配の側の人間が支配される民族を殺してしまい死刑になる話だっていう文脈はわかってなかったなあ。ただただ不条理の世界として読んでいたような気がする。カミュの出自とか、文盲であった母親との関連とか、その後の植民地支配を巡る言動とかをふまえると、もっと詳細な読みがみえてくるかも・・・

カミュ『よそもの』きみの友だち
カミュ『よそもの』きみの友だち野崎 歓

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 id:plural_self さんにご紹介いただきました。読んでみようかな。

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