構成主義的心理療法ハンドブック/マイケル・F・ホイト 編
再決断療法、コラボレイティヴ・セラピーなど構成主義的な心理療法に関する論文集。原著22論文のうち13論文の抄訳。
訳の質の問題を”構成”の結果とすりかえてはいけないと思います。一部の訳は下訳レベル。よくあることだけど会話文はダメダメ。ひとつの章に「解決志向アプローチ」(p.84)と「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」(p.100)が混在しているのは3人もの訳者が担当しているためでしょう。
各著者と訳者の組み合わせによる”構成”の結果を尊重することにして
- p.23 コアーレ Coale → 普通は「コール」
- p.43 コートハンガーを使って中絶 →「ハンガー」でいいと思います。google image で検索する限り coat hanger はほとんど日本語のハンガーを指します。そんな中絶法あるのかと思ったら Wikipedia の英語版の self-induced abortion の項にきちんと出ていました。
- p.53 ボードリァールのエッセイ → 普通は「ア」は小さくしないのだけど・・・エッセイはここでは「論文」
- p.82 心理学者のアドルフ・マイヤー → 精神科医
- p.105 フランシス・ベーコンは、1602年に著した『新オルガノン(ノブヌ・オルガーヌム)』 Novum Organum 古典ラテン語はvを「ウ」と発音するので、「ノウム・オルガヌム」、中世ラテン語でvが「ヴ」と発音されたとしても「ノヴム・オルガヌム」。
- p.117 ジョアン → 原文確認していないけど多分 ジョーン Joan のこと。
- p.119 ・・・健康的に食事もとれるようになっていた。さらに、回復した自己イメージ合わせたワードローブに代えることさえするようになった。 → 回復した自己イメージに合わせた服を選ぶことさえできるようになった。
- p.149 自己充足的予知能力(self-fulfilling prophecies) 専門書で英文が併記されているところは訳者が意味がわからなかったところという場合がありますね。予知能力と予言は全然違います。「自己成就予言」
- p.151 Fish → Fisch 昔、日本心理臨床学会でも講演をしましたね。
- p.156 ヴァージリオ → バージリオ スペイン語では「v」の発音は「b」と同じ。
- p.158 アトラクタ/アトラクター表記揺れ 理系表記ですが一部文系長音が混入。
- p.317 Cederberg → Cederborg
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