「ナラティブ心理学セミナー―自己・トラウマ・意味の構築/ミシェル・L・クロスリー」

 HIV患者が父娘近親姦サヴァイヴァーの人の語りなどを中心としたナラティブ心理学に関する論考。
 著者は訳注を章立て、後書きでも語義など詳しく解説しているのだけれど、そのわりに訳が今ひとつなのは残念。意訳を多用しているけれど、微妙にずれている。

  • p.70 patriachal → patriarchal
  • p.73 「局所的(topical)」→ テーマ的
  • p.108 Narrative means to Therapeutic Ends:ナラティブは治療の目標である → 治療目標へのナラティブ的手段  訳者は多分 means を動詞だと思っている。
  • p.129 正確な(adequate) → 十分な
  • p.164 出来損ない(inadequacy) → 力不足
  • p.195 出費(financial investment) → 財政投資
  • p.196 パパのみだらな女なのに、相手を喜ばせることができなかった → パパを満足させられないダメな娘 naughty はここでは性的な意味を込めてはダメ。
  • p.196 初めてのデート相手にそこまでさせてはいけない。ガソリン代とコサージ代を計算しておかなければ。 → 初めてのデートでそんなことまでさせるべきじゃないけど、ガソリン代とかプレゼントにもらったコサージュ代を計算してしまうんです。 最初のデートの相手にお金を使わせてしまって悪いと思ってペッティングさせてしまうことを言っているんだけど、訳者はよくわかっていない。
  • p.214 agenda 別にコンピュータ用語の転用じゃないと思う。ラテン語で「されるべきこと」
  • p.240 不死のシンボル (symbolic immortality) → 象徴的な不死

ナラティブ心理学セミナー―自己・トラウマ・意味の構築
ナラティブ心理学セミナー―自己・トラウマ・意味の構築ミシェル・L. クロスリー 角山 富雄

金剛出版 2009-10-06
売り上げランキング : 618610

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
N:ナラティヴとケア 第1号――特集:ナラティブ・ベイスト・メディスンの展開
ナラティヴ・アプローチ
ナラティヴ実践地図
ナラティヴ・セラピーって何?
物語としてのケア―ナラティヴ・アプローチの世界へ (シリーズ ケアをひらく)