京大心理臨床シリーズ5 心理臨床における個と集団/岡田康伸 河合俊雄 桑原知子 編


目次
第1章 心理臨床における個と集団という視点
第2章 家族における個と集団
第3章 グループ療法
第4章 グループによる訓練
第5章 教育臨床における個と集団
第6章 医療現場における個と集団
第7章 福祉・司法現場における個と集団
 「個と集団」というテーマなんだけど、活動療法とか、構成的なグループが中心で、個人療法セラピストが、やむをえず集団場面に遭遇したときの心構えとかが多いという印象。「グループ療法」という章でも力動的集団心理療法はすっぽり抜け落ちているし、家族療法について執筆しているのも京大出身ではない亀口先生。集団療法に関する消極性(どうして病院でグループサイコセラピーしないの!)、さすがに批判的に取り上げられているけれど、母子平行面接でコ・セラピスト間の情報提供を拒否する若手の存在などに愕然とする。そういえば京大出身の人で集団心理療法っていうとあんまり思い浮かばないし(知らないだけだったらすいません)、日本集団精神療法学会の大会が近畿圏で行われたのも記憶にない。ユング派にはファンタジー・グループっていうのがあるけど、日本集団精神療法学会で関連の発表も記憶にないし、ユング派と集団療法ってなじまないのかしらん。そういうことを考えれば、批判よりも京大心理臨床シリーズでこうしたテーマが取り上げられること自体を評価すべきかもしれない。
 そんな中でも森茂起先生のビオンのグリッド概念を使った事例検討の検討はおもしろかった。


 ただ集団療法という視点そのもののが広まっていかないのはグループセラピストの問題も大きいような気がする。自分がされた苦しいグループを世代間継承していって、初心者の人たちが嫌になってしまうから、グループ自体が広まっていかない。でも心臨のグループ関連のセッションが満員になってたのを考えれば、(他の部屋にはいれなかっというのもあるだろうけど)、やっぱりグループに関心をもって、やりたいと思う人はいるはず。もう少し自分も布教に力を入れようと思う。

心理臨床における個と集団
心理臨床における個と集団岡田 康伸 河合 俊雄 桑原 知子

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