第一巻は成瀬悟策、森崎美奈子、橘玲子、藤岡淳子の諸先生。
成瀬先生が催眠術を始めたのは「変態心理」の中村古峡の催眠術実演をみたのがきっかけ、福来友吉東大助教授の念写実験に寺田寅彦がカメラを抱えていったとか、福来友吉と大槻快尊不仲説など心理学史的に面白い話が載っていました。中村古峡なんて大昔の人という印象だけど、成瀬先生でつながると何だか身近に感じます。
その後の成瀬先生も日本で最初の事例研究を行ったり、催眠術の本を書いてバカ売れしたり、イメージ研究でメニンガー研究所に乗り込んだり、ディビッド・ラパポートとマブダチになったり獅子奮迅の活躍という感じです。
精神分析関連では古沢平作先生(間違って「こざわ」とルビが振られてるけど正しくは「こさわ」)との訓練分析体験がおもしろいですね。同時期に土居健郎先生も古沢先生から訓練分析を受けていたけれど、ふたりは決裂し、土居先生は古沢先生に内緒でメニンガー研究所に行っちゃって、成瀬先生とのセッションで古沢先生がさんざん土居先生の悪口をいっていたなどなど・・・・
精神分析を実践するつもりはなかったけれど、体験してみたかった成瀬先生、第1回の日本精神分析学会には参加して学会誌の創刊号に学会の印象を書いている。お偉方がシンポジウム中に「腹が減った」などというおもしろい学会だ、と書いたら前田重治先生が、精神分析をバカにしていると怒ったとか・・
成瀬先生ほど痛快ではないものの、産業領域、医療領域、司法領域の草分けの他の先生方の話もそれぞれ興味深いです。やっぱり自分で学ばなければならないというほど最高の学びの環境はないということだと思います。
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