フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析/岡田恩司

 精神分析創始者フロイトについてはもはやあらゆるパースペクティブから書かれ尽くしたという感もあるのですが、この本は「イタリア」という視点からフロイトを見直すというまだこんな視点があったかというちょっとした驚きを与えてくれる本です。
 「日常生活の精神病理」に取り上げられているフロイト自身が画家の名前を思い出せないというエピソードは、実はフロイトのフリースへの父親転移の影響が大きかったのではないかなどといった視点が、著者の専門である美術史的観点も踏まえて描き出されています。

フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析
フロイトのイタリア―旅・芸術・精神分析岡田 温司

平凡社 2008-07
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