実学としての博物学=本草学『江戸の博物学者たち/杉本つとむ』

 博物学というと何か趣味の世界という感じがしてしまいますが、江戸時代の博物学本草学は飢饉対策の重要な実学だったようですね。そもそも私たちは当たり前のように漢字表記の植物名を使っていますが、中国の漢字名の植物が日本のどの植物に相当するかというところからそもそも本草学ははじまったわけで、だから日本と中国で同じ漢字表記を使っていても指す植物が別などと言う事態が発生したりする。牧野富太郎博士が『紫陽花』は『あじさい』とは別だという趣旨の論文を書いていたりするそうです。
 才人として知られる平賀源内も元は本草学者だし、小野蘭山って人は知らなかったのですがなかなか面白い仕事をしているようです。
 エリマキトカゲとかドラーク=オランダ語でドラゴンとか言う名前で紹介されたりしているのも面白いですね。いきなり漢字白文カナかな交じり文の引用20頁以上あったりして読みやすい本ではないのですが。

江戸の博物学者たち (学術文庫)
江戸の博物学者たち (学術文庫)
講談社 2006-05-11
売り上げランキング : 495732

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
西洋博物学者列伝―アリストテレスからダーウィンまで
江戸の旅日記―「徳川啓蒙期」の博物学者たち (集英社新書)
系統樹思考の世界 (講談社現代新書)
「分ける」こと「わかる」こと (講談社学術文庫)
風雲児たち 幕末編 11 (SPコミックス)