単純な関係にしか耐えられないカウンセラー

 ふとTVをつけたら放送大学京都文教大学高石浩一先生が、学生相談について話していた。
 学生相談で教員が評価しつつカウンセリングを行うのは多重関係で問題があるから、「専門職としての採用」が広まっているって?
 大学の専任カウンセラーの身分としては以前から私立が事務系列、国立が教員系列というのは大きく変わっていない。
 少なくとも国立大学では研究室移動、ハラスメントなど微妙な問題に関与するためには教員の身分がないと難しい。かつて勤めていた私学の学生相談室ではカウンセラー職は事務系列だったけれど、カウンセラーが教員とコンタクトする際は学生相談室長を通さないといけなかった。もちろん本来は事務職カウンセラーであっても教員とうまくコラボできるような環境が必要なのだけど。
 だからこれは事実というより高石先生があるべきと思っているファンタジーの世界。それはまぜこぜにすると聞いている学生が混乱すると思う。


 ちょっと気に入らないのはこういう多重関係否定の個人面接偏重主義が集団療法の進展を疎外してるというところ。もちろんクライアントを搾取する悪性の多重関係は存在するし、注意をはらわなければならないと思う。だけど、多重関係ないと困るでしょ。面接室に通したりするときと、面接室の中の話すときの関係の質が違わないと困るでしょ?
 そういうのつきつめていくと、キャンパスで相談を担当する学生見ると隠れるセラピスト(実在する!)ができあがるの。何でそんなシンプルな関係性が好きなのかな・・・。
 ATスプリットも同じ。あれが基本だと思う人が出てくるので困っちゃう。現実的な責任を引き受け、セラピーも行うのが基本。それが混乱するような場合に分担するの。


 まあ、こういう河合隼雄先生の作り出した悪い方の伝統とは今後も戦っていかないといけないかな。