「パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床/林直樹」

 類書はたくさんありますが、映画「ファザーレス」、ジャン・ジャック・ルソー、「連続射殺魔」永山則夫、「嵐が丘」、「積木くずし」、「キャッチャー・イン・ザ・ライ」などの切り口が新鮮でした。


 この一節はちょっと泣ける。


 境界例患者に住居や仕事を提供するなどの援助をしていたシュマイドバーグ(Schmideberg, M., 1947) は、ときに患者を母のように抱いたという。(p.169)

 
 精神科医であるメリッタ・シュマイドバーグはメラニー・クラインの実子。小さい頃から母の論文の題材にされ、15歳で母親と一緒に精神分析学会にに参加した。そして母がなしえなかった大学入学をはたし、精神科医となる。両親は離婚、同じように論文の題材にされた兄が山で死んだ後、母との不和が表面化し、学会で母親への攻撃を始める。子どもの頃のメリッタに必要だったのはやはり母から抱きしめてもらうことだったのか。
 母の葬儀にメリッタは参加しなかったという。

パーソナリティ障害とむきあう―社会・文化現象と精神科臨床
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