サリヴァンにおいてはすべてはインターパーソナル。もちろん感情も。そういう意味では自分の内面に感情を取り込むというようなニュアンス(bringing feelings into oneself みたいな)の「感情移入」はぴったりしないと思う。文字通りこれは (both you and me) in feelings ってことじゃないかな。
中井先生のこの訳は、実は(感情の取り込み)っていう部分は訳注なんだけれど、それが明確でないのはまずいと思う。
感情移入(empathy―感情のとりこみ)とは、幼児と、幼児にとっての重要人物たち―母親や乳母など―との関係を支える一種特別の感情の絆を指す言葉である。 「現代精神医学の概念/ハリー・スタック・サリヴァン」 中井久夫訳 p.26
じゃあどういう訳がいいかというとちょっと難しいので考える。
(2012.4.23追記) 考えた結果の訳語は「エンパシー」あるいは「情動共振」。
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