先頃読んだ喪失とトラウマの本には自殺のことはのっていても流産・死産・新生児死亡のことは載っていませんでしたね。戦後すぐの頃はお産の際に百人中2人の赤ちゃんは亡くなっていて、しかもきょうだいはたくさんが普通。最近は出産時の赤ちゃんの死亡率は1000人中、1.6人まで下がったけれども、少子化に加えそのような体験を持つ少なくなり、死産をした母親は罪責感をもったり、孤立したりということが多いようです。この本には医療者の心ない言動もたくさん書かれています。「交通事故にあったようなもの」「あなたがもっと協力してくれれば」。元気な赤ん坊のへその緒は桐の箱に入れられるのに、病院の封筒に入れて渡されたへその緒。渡されるのはまだいい方で、母親は亡くなった赤ちゃんを見ない方がいいと医療者が勝手に決めて、そのために後々後悔し、苦しむことになる母親。死産後も出産を迎えた、あるいは迎える予定の妊婦と相部屋ですごさなければならない母親のつらさ。
その一方で編者たちは、死産となった赤ちゃんをなるべくひとりの人間として扱い、お母さんのお乳を口に含ませ、家族との記念写真を撮り、一晩添い寝をさせるなどのアプローチを取っています。ビクトリア朝時代の亡くなった子どもとの記念写真は見たことがありましたが、現代のものはこの本で初めて見ました。赤ちゃんを亡くした家族のための自助グループ情報なども掲載されています。
巻末に載っているアンケートに挙げられたお母さんの希望として、カウンセラーと話したかった、というのがたくさんありました。この分野への進出ももっともっと必要ですね。
お勧めです。
赤ちゃんの死を前にして―流産・死産・新生児死亡への関わり方とこころのケア | |
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plural_self さんからお勧めの本を紹介して頂いたので追記します。
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