稲垣足穂の「少年愛」、ヘッセの「デミアン」「知と愛」「車輪の下」といったヨーロッパ的少年愛の伝統の直接的な影響のもと、増山法恵を思想的ブレーンとして竹宮惠子と萩尾望都という天才的表現者のもとに花開いた「美少年愛」という伝統。それが、栗本薫/中島梓の布教によっていかに現在のボーイズラブ文化を培っていったかを関係者のインタビューを交えて描く。本当は栗本薫/中島梓にもインタビューしたかったのでしょうが、出版時はまだ存命といえどかなりもう病状が悪くてそれはかなわなかったのでしょうね。
こういう小説の熱心な読者ではありませんが、間違えて栗本薫のそれ系の小説を読んだり、江森備の男色三國志ものを読んだり、最初のやおい啓発本たる雑誌「June」のライヴァル誌「アラン」のケネス・アンガー特集を眺めていたり、傍観していた人間としては興味深い内容でした。
これ読んで思い出したが、男子高校のホームルーム(何をしても良かった)の映画鑑賞で「アナザー・カントリー」(ボーイズラブ的内容を含む)を見にいくことになったのはなぜだったのかと昔の記憶が甦ってきました.
密やかな教育―“やおい・ボーイズラブ”前史 | |
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