ミニューチンの家族療法セミナー/サルバドール・ミニューチン W・Y・リー G・M・サイモン

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 家族療法家のミニューチンと彼のスーパーバイジーたちによるセミナーの記録。精神分析のクライアントがやっぱり成功した白人が多いのに対して、他民族で低所得層の人々が多いのはやっぱりえらいなと思いました。
 「米国では数少ない離婚していない家族療法家」っていう訳者の亀口先生の紹介がおかしい。ボルヘスを引いているのをみるとやっぱりアルゼンチン出身なのだなと実感。
 そうすると、p.155 ボージス(Borges)とはボルヘスのことですね。「十字路に出くわしたときにその一方の道だけではなく両方の道をとるということを学んだ」。クイズだと思って考えたらわかるけれど、この場合 crossroad は三叉路。訳すなら「分かれ道」とすべき。 クリームの、というかロバート・ジョンソンのクロスロード・ブルースも同様です。監訳のせいか表記には揺れも目立ちますね。マレー・ボウエンとマレイ・ボウエンとか・・
カーンバーグといい、ガンザラインといい、南米で教育を受けた臨床家はパワーがありますね。ウィリアム・アラソン・ホワイト研究所で学んでもいたのか・・・


 セラピーとはセラピストが自分すべてを用いる過程である (p.108)
 これはいい言葉だな。
 ミニューチンのスーパービジョンの様子が書かれていましたが、バーナード大学出身のフェミニストとの対決の様子など面白いですね。ミニューチンは武闘派というか、かなりマッチョなイメージがあって、フェミニズムからは標的にされることも多いようです。バーナード大学はコロンビア大学の姉妹校で、私もニューヨークに行ったときに見てきましたが、レイプ防止対策センターがかなり自主的な運営でなされていてました。
 
 カール・ウィタカーは人々の中の「クレイジー」なものを引き出すことを重視したというけど、本当に「クレイジー」な人だね。

「クレイジーな話なんですがね、戦いたくなりましてね。そうだ、決闘しましょうよ」。
家族の困惑した様子を見て、ウィタカーは言った。「冗談ですよ」
「夢の世界の住民を目指し、そのようにふるまう。不思議の国のアリスさながらに」「理論は治療のさまたげになる」っていう彼の言葉はなかなか良いな。
ミニューチンの家族療法セミナー―心理療法家の成長とそのスーパーヴィジョン
4772406506サルバドール ミニューチン ジョージ・M. サイモン ウェイユン リー

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