フロイト=ラカン/新宮一成・立木康介 編

 冒頭でフロイトの用語の新訳、「夢判断」に代わり「夢解釈」、「快感原則に代わり「快原理」、「リビドー」の代わりに「リ]]ビード[[」などを使う旨述べられているが、それに関する説明はない。まあきかれればあらかじめ念入りに削除されているのだとか、何とかいったもったいぶった答えが返ってくるのだろうと思う。こういうやり方がラカンの読者が押しつけられるパターンだということは内田樹先生の「レヴィナスラカン」を読んでよくわかった。ラカン理論のあたりはまいどおなじみという感じだけれど、夢判断の夢の症例の部分の新宮先生の筆致は美しいなと思う。仏教とラカン理論のからみはおもしろかったので、ぜひ次はそこらへんの著作が読みたい。


 関係ないけれど、意外なところで臨床心理士批判発見。


 かつてIPAの分析家養成システムですら「自動車教習所」と皮肉ったラカンなら、「指定校」で促成栽培され、マークシートと面接試験で資格認定を受ける現在の日本の「臨床心理士」認定制度について何と言うか聞いてみたい(p.207)
 ラカン派のパスというシステムもぞっとするけれど、まあこの批判もごもっとも。


 「エクリ」は長いことラカンの唯一の著作集だったんだけれど、2001年に「エクリ」に漏れていた著作を集めて「もう一つのエクリ」というのが出版されてたんだね。全然知りませんでした。

知の教科書 フロイト=ラカン
4062583305新宮 一成

講談社 2005-05-11
売り上げランキング : 50,859

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
精神分析学を学ぶ人のために
無意識の形成物 (上)
精神分析の倫理 下
精神分析の倫理 上
現代思想冒険者たちSelect 鏡像段階 ラカン