99歳精神科医の挑戦/秋元波留夫

 一世紀も生きるというのは凄いことですね。西丸四方先生よりもさらに高齢の著者は1906年生まれの精神科医です。若い頃には島田清次郎の「地上」を読み、東大の医学部にはいって石田昇の「新撰精神病学」を読んで、精神医学を志し、石田昇がアドルフ・マイアーのところに留学中、統合失調症を発病して殺人罪で拘留された後、病状悪化のため帰国して入院したかつての勤務先松沢病院で主治医をしていたそうです。長崎医専で石田の後任となったのが斎藤茂吉。また石田が「新撰精神病学」で写真入りでとりあげた有名な症例、芦原将軍とその後の石田のからみも数奇なものでした。
 笠原嘉先生といい、時代を生き抜いてきた人たちのパワーはやっぱり違いますね。