アイデンティティ強迫というコンセプトからの「自分さがし」批判です。先頃自殺してしまった作家の鷺沢萌さんの韓国(済州島)出身の祖父を持つというクォーターというアイデンティティについてなどさまざまな観点からアイデンティティ批判が行われています。結構面白かったです。精神分析の視点から言うと、エリクソンからいきなり解離の話に飛んでしまわないで、ジェイコブソンあたりでつないでほしかったですけれど、社会的認知が低いので仕方がありません。解離のあたりは斎藤環先生が書かれています。
編著ものって心理の世界では原稿依頼してそのまま集めただけ、なんてのが結構目立ちますけれど、上野先生が最後に全体の論文を批判的に展望しているところがよいです。お勧めです。
- p.27 アルチュセールの「呼びかけ」の概念 ここでもアルチュセール・・・
- p.299 この国では、木村敏や河合隼雄のように、精神科医が あれ?上野先生は河合先生とは共同編集とかもしてるはずですけど、精神科医と勘違いしてるってことはないですよね・・・
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