母子間の抱きの人間科学的研究/西条剛央

 「構造構成主義とは何か?」を読んで、今ひとつ具体的な実験のイメージが浮かばなかったので著者による「抱き」に関する実際の研究を読んでみました。
 理論的なベースとしては、リクールが構造主義に対して行っている受身性の批判の超克として「構造」を主体的な分節化というふうに捕らえる考えにはちょっとついていけないという感覚を覚えます。臨床の場面でも「構造化」というタームは使われるけれど、局部的な構造化であって、その構造化の外部には関知し得ない「外部」が必ず存在してしまうだろうという確信があります。
 「抱き」の研究に関しても、おそらく発達心理学的な貢献はあるのだと思うのだけれど、やっぱり論文読むより赤ん坊だいて、においや重みを感じたり、かわいいなと思ったりしたほうがいいなと思ってしまうところが、人間科学者としての自分のダメなところなのでしょう。

母子間の抱きの人間科学的研究―ダイナミック・システムズ・アプローチの適用
母子間の抱きの人間科学的研究―ダイナミック・システムズ・アプローチの適用西條 剛央

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