抗うつ薬の功罪/ディビィッド・ヒーリー

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 イギリスの精神科医による抗うつ薬SSRI告発の書。特にSSRIを服用したときの自殺、他殺衝動の高まり、製薬会社による論文のゴースト・ライティング、効果が確認できなくて闇に葬り去られる治験、evidence-biased medicine (エビデンスに歪められた医療)の問題などを取り上げている。
 確かに自殺、他殺という多要因のからむ出来事に、向精神薬がどの程度影響を与えていたかを実証的に示すと言うことは困難であるが、医療スタッフを被験者としたSSRIの治験で、自殺衝動を示した被験者がいたこと、コロンバイン高校銃乱射事件の犯人が強迫性障害の治療薬としてSSRIを服用していたなどという事実は、不安を抱かせるところがある。
 絶対安全という製品は考えられないが、そのリスクをどう評価するかに当たって現在の製薬会社の影響の大きい評価システムは確かに問題だろう。
 原題は"Let Them Eat Prozac"。「プロザックを食べたらいいじゃないの」。フランスの王妃、マリー・アントワネットの「パンがないのならお菓子を食べたらいいじゃないの」にかけている。

抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟
抗うつ薬の功罪―SSRI論争と訴訟デイヴィッド ヒーリー David Healy 谷垣 暁美

みすず書房 2005-08
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