ひきこもりからの出発 あるカウンセリングからの出発/横湯園子

 ロジャーズ的共感的接近かと思ったら、第3章から「完全な記憶を取り戻す」記憶回復路線に方向転換。
 アイリーン・フランクリン Eileen Franklin という女性が20年前に父親が友人を殺したというトラウマを想起し、父親が終身刑を宣告された事件を例にひいて、クライアントのいじめの記憶回復を記述している。うーん、横湯先生は信憑性があいまいだということで父親がその後無罪になったことを知っているのでしょうか。もちろんアメリカの裁判で無罪になったからといって実際にやっていないという証明にはならないけれど、一定の留保は必要でしょう。

 ちょうど福祉ネットワークで本書に登場するひきこもりの当事者の方(実名で放送されていました)との出会いを描いた番組が放送されていたので、録画していたものを見てみました。
 過去の面接のビデオまで放送を許可したクライアントの方には、その勇気に素直に頭をたれたいと思います。
 書籍には2006年3月に出版の許可を求めるために「7年の歳月を経て」札幌で再会したとあります。テレビでは「東京の転勤以降連絡が途絶えてしまった」(ナレーション)「8年近く会っていませんから」(横湯氏の言葉)となっているので、きちんと説明がないと感動の再会を演出したと思われてしまうのではないでしょうか。

ひきこもりからの出発―あるカウンセリングの記録
ひきこもりからの出発―あるカウンセリングの記録横湯 園子

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 こんなところにも登場してらっしゃいますね。面接の中で気功を取り入れたりしていますから、スピリチュアルなものにも親和性が高いのかもしれません。「オーラの泉」にも出ていたようですね。もちろん未見ですけど。


はじめに
第1章 いのちとは、生きるとは
第2章 自殺を選んだたましいのゆくえ
第3章 今なぜ自殺者が増えているのか
第4章 いのちを絶とうとしているあなたへ
第5章 愛する人が死に向かうのを止めたいあなたへ
第6章 愛する人を自殺で喪ったあなたへ
対談 「生き抜くこと」の難しい時代に
〜臨床心理の現場から
  横湯園子×江原啓之
あとがき
いのちが危ない!―スピリチュアル・カウンセラーからの提言
いのちが危ない!―スピリチュアル・カウンセラーからの提言江原 啓之

集英社 2005-04
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