図書館のための個人情報保護ガイドブック/藤倉恵一

 浜松市立図書館の過剰な個人情報保護(貸出票に署名を記載しない)について考えるために借りてみました。全体的に非常に常識的な見解が記載されていてやはりという感じがしました。
 貸出期限票についてはほんのわずかの記載しかありませんでした。


 また、より注意が必要なのは、出力される貸出期限票(レシート)に氏名などの個人情報が極力出力されないように設定することです。(p.35)
 「個人情報」とは普通「特定の個人を識別できる情報」ですから、書籍名は入らないと思います。個人的には名前があった方がありがたいですが、まあidでも署名が記載されていればだいたいわかるので許容範囲です。


 もうひとつ、いちばん現実的でかつ効果のある対処としては「特に申し出がない限り、これまでどおり掲示による連絡を行う」という方針を打ち出すことです。「特に申し出がない限り」とオプト・アウト(利用者情報の掲示について、本人による拒否の意思表示)に応じることについて明確に示しておいて、その上で「(申し出がなければ)これまで有効であった方法を継続する」ことについて方針という形で「公表」することになります。(p.46)
 これは掲示による連絡の場合ですが、書籍名の表示に関しても同様の対応が一番現実的だったろうと思います。新システムにする際に、「個人情報保護」だからという理由で一律に予約書籍通知メールからも貸出票からも書籍名を削ってしまったことが、利用者に不便な思いをさせているのです(予約書籍通知メールは利用者からの苦情があって、その後復活)。
 著者のメールアドレスが掲載されていれば、貸出票に書籍名を記載することの是非について質問メールを書こうかと思いましたが、残念ながら掲載されていませんでした。


 とりあえず次回図書館に行ったら自分の分の書籍一覧の情報をほしいと図書館の職員に言ってみるつもりです。(窓口で言っても派遣の方なのでかわいそうなだけなので)。自動検索機でパスワード打ち込んで出すようにいわれるでしょうが、その根拠を聞いてきます。なぜパスワード入力が必要なのか。貸出カードで本人確認できないとするなら、本を渡したらまずいと思うのですが・・・。

図書館のための個人情報保護ガイドブック (JLA図書館実践シリーズ (3))
図書館のための個人情報保護ガイドブック (JLA図書館実践シリーズ (3))藤倉 恵一

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