精神分析ってひとことでいっても実情を見ると各派閥でてんでんばらばらのことをいってたりするのがやっぱり面白いところ。
アメリカとイギリスの精神分析家の諸学派65人へのインタビュー。
読んで思ったのはクライニアンと自己心理学って一見すると正反対の立場だけど、結構似ているのではということ。自分たちの信奉する理論以外に興味を示さない凝集性の高い群をクラスター分析で抽出したら、ひとつはもちろんクライン派だけど、もうひとつは自己心理学派・・・
ロサンジェルスではクライン派から自己心理学派に転向した分析家も結構多いとのこと。
ロサンジェルスっていうのも精神分析的には面白い都市で、西海岸だけあっていろいろな新しい試みが注目されている。古くはフェレンツィの流れを汲むハンガリー出身の分析家、フランツ・アレクサンダーの影響があって、クライン派も存在し、ビオンが晩年を過ごしたこともあってビオンも読まれ、自己心理学もかなりの勢力を誇っている。オグデンが学んだサンフランシスコのこじんまりしたまとまりとは対照的だ。
翻訳は残念ながら会話のところなど中心にちょっと読みにくい。分担訳なので諸学派の差の細かなニュアンスが伝え切れてないと思う。『サリバン』と『タヴィストック』など「v」音の表記揺れも気になる。
- p.3 解釈企画 interpretive schema → 解釈スキーマ
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