シュナイドマン、死の直前の一冊 「生と死のコモンセンスブック−シュナイドマン90歳の回想/エドウィン・シュナイドマン」

 自殺学の泰斗、シュナイドマン博士が死を迎える直前に執筆した最後の著書。
 何となく精神科医だと思っていたのですが、TATのヘンリー・マレーを師とするサイコロジストだったのですね。内容は心理学的剖検をはじめ、シュナイドマンが生涯をかけて研究してきた生死学についての集大成という感じです。90歳前後でこれを執筆したというところが凄いですが、何より感銘を受けたのはこの本の執筆と前後して、自宅の三軒隣に住んでいた自分の半分くらいの年齢のソーシャルワーカー心理療法を始め、本の終わりにはそのセラピストが書いた文章が掲載されていることです。
 自らの死を目前にしてもなおかつ自分の研究テーマを追求しようという意欲と、身体的衰え、老人らしい頑迷さなどもありのままにさらけだそうという姿勢は、ベクトルはだいぶ違いますが、尊厳ある死を理論的に追求してきたにも関わらず、チャネリングにはまり、死期を迎えて悪態をつき醜態をさらす自分をカメラにおさめることを許可したエリザベス・キュブラー・ロスを思い出しますね。

生と死のコモンセンスブック―シュナイドマン九〇歳の回想
生と死のコモンセンスブック―シュナイドマン九〇歳の回想高橋 祥友

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