著者によればフロイトは「自己の感覚は皮膚から生じる」と述べているそうだ。境界としての皮膚は生理的のみならず心理的にも重要な意味を持っている。アンジュー・ディディエーの「皮膚−自我」の概念、オグデンの自閉−接触ポジション、メルツァーの付着同一化など、メタ心理学の中に組み込む精神分析家も多い。
本書は皮膚をテーマに多様な側面から皮膚について論じた一般書。臨床関係では、アタッチメント、動作法、リストカッティングなどへの言及有り。
研究結果については、ほんとうに科学的な結果なのかつっこみをいれたくなるところも目についた。
また皮膚に注目しすぎて過剰な一般化の部分もあると思った。例えば次のような文章。
いくらなんでもこれはトンデモ理論でしょう。
また、フリーターはリミナリティの特徴をもつが、皮膚への刺激による試練に耐えることがないので、再び社会の中に取り込まれる可能性が低い。(p.195)
皮膚という「脳」 心をあやつる神秘の機能 | |
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