心理療法とこころの深層 無意識の物語との対話/横山博

 非常にユング派的なタイトルで、実際そういう内容なんですけど、共産主義的活動への挫折とロマン主義的補完がテーマになってるんだから個人的には「転向としてのユング派」くらいのタイトル・内容でいってほしかった。
 それにしてもかつてマルクス主義的運動に関わった人が、下記のような記述をするのには少々驚きます。これがやはり転向ということなのでしょう。


 数年前のことであろうか、あるシンポジウムで、当学会成立の重要な立役者の一人であり私の師でもある河合隼雄氏が、ある若手研究者の「臨床心理学が大学で生まれた」という意味の発言に対して、強い憤りを込めて「大学で生まれたのではない!臨床から生まれたのだ」と述べておられたことを思い出す。
 この若手研究者の発言はもしかするとただ大学教員の優越感を述べられただけかもしれません。ただ僕には皮肉をこめた抗議のようにも響きました。「臨床をする余裕のあるのが大学教員ばかりだった」というのが現状だったのではないでしょうか。


 雑誌「精神医療」って岩崎学術出版社からでてたんですか?これはびっくり。

心理療法とこころの深層―無意識の物語との対話
心理療法とこころの深層―無意識の物語との対話横山 博

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