死を前にした子どもたちの描く描画。カラー図版が別冊になっていて、翻訳出版までには多くの苦労があったことを想像させる。筆者の主張は、死を前にした子どもたちが病状や死期をも予言するような絵を描くということ。大昔にテレビの「特ダネ登場!」(?)かなんかで、自殺を前にした子どもが特徴的な絵を描くというのを見て、すごく怖ろしかったことを思い出した。例えば5日後に死ぬことになる子どもが、5枚の花びらの絵を描くとか。まあオカルト。オカルト自体は嫌いじゃないが、何だかこういうのは好きじゃないな・・・。
と学会ネタかと思うようなちょっとこじつけと思うところも多かった。人物画の左の手が小さいのを左片麻痺と結びつけてるけど(p.22)、向かって左だったら右片麻痺じゃないのか。5番目の花が悪魔の仮面をつけている(p.22)とあるのだけど、印刷の加減なのかちっとも悪魔の仮面に見えない。これは絵を描いた女の子が5歳の時ということを表しているそうだ。右からは三番目だから3歳でもいいんだろうね。きっと。太陽から光線がでているよくある子どもの表現も「少々妙な表現がなされており、8本の光線が出ている」となる。こういう見方をするのは筆者の「諸処の対象に注目し、複数描かれているなら数える」という方針が背後にあるわけ。
というようにツッコミをいれつつ読んでいたが、本文編と図版編が別れていて、図版も順番でなく前後に飛ぶため図を参照しようとすると非常にめんどくさい思いをしなければならず、途中から流し読みになってしまった。まあコストの関係でしょうがないのだろうけど、もう少し読みやすくならなかったものか。
生命はその生涯を描く―重病の子どもが描く自由画の意味 | |
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