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うつ病を「心の風邪」などというのは戯言で、怖ろしい病気であることを描き出そうという筆者の意図は成功しているが、当事者や家族が読むと絶望が増すだけという気もする。
うつ病に関していろいろ著作をものしている精神科医についてもぼろくそに言っていて「精神科医であっても、勤務先が「保健管理センター」や「心理学科」であるため、実地の臨床にほとんど携わってないからである。」なかなか手厳しい。自著で 2chのログをそのまま引用している著者に相応しい箴言。
ただ、匿名とはいえ自分の関わった精神鑑定(そうは書いてないがまあ間違いない)を長々と載せるのは「うつ病」の本の趣旨からしてどうなのか。筆者の所属機関と事件の内容から検索すれば特定可能みたいだし。
「日本の社会は落後することを許容しない社会」っていうのには納得。自殺の現象のためには社会構造自体を変えていかないと行けない。アメリカで新薬の治験が進むのは貧困層に無保険のものが多いからか・・・
気になった有名人のうつ病のエピソードもいくつか。ヘミングウェイの父、妹、弟、孫娘は自殺。三男はうつ病にかかり麻薬常用で医師免許を剥奪され、性転換手術を受け、全裸で街を徘徊していたところを収監されたときに独房で心臓疾患のために亡くなった。
うつ病だったヴィヴィアン・リーは女優生活を続けるために定期的に電気ショック療法をくりかえしたそうだ。ドグマチールの副作用がらみで島田荘司の小説が参照されていてちょっとびっくり。
うつ病―まだ語られていない真実 (ちくま新書 690) | |
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