彷徨記/西丸四方

 高校時代に読んだ中公新書の「病める心の記録」は私がこういう方面の仕事をするきっかけの一つになりました。西丸先生の母方は島崎藤村の島崎家だったのですね。知りませんでした。弟さんは島崎家に養子に行きやはり精神科医となりました。野口雨情も親戚らしいです。
 タイトルからすると堅い内容の本かと思いますが、淡々と語られる古き良き/悪しき精神医療の創生期はむちゃくちゃおもしろいです。ロボトミーや患者の自殺など、これはどうなのかと思う記載もありますが、先生のキャラクターについ許してしまいたくなります。画家&作家の草間彌生先生との出会いも描かれており興味深いです。
 うつ病の睡眠持続療法、精神分裂病インスリンショック療法、どちらも死亡率10%!恐ろしい時代があったものです。

彷徨記―狂気を担って
西丸四方

批評社 1991-05
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