指示と指導

 ロテ職人さんが、資格問題についてまとめられています。
http://blog.livedoor.jp/rotemeister/archives/20062592.html
 しかし、ちょっと違うと思います。私も法律の専門家ではないので、間違いはあるかもしれませんがまとめてみます。

指示と指導の違いは責任関係の有無にあります。
 校長−教員−生徒
 という学校での関係を考えていだくと分かりやすいと思います。校長先生と教員の関係は指示関係です。ですから、教員に重大な不祥事があったときに校長は管理責任を問われ、訓告などの処分が下されます。教員と生徒の関係は指導です。生徒が重大な不祥事を起こしたとき教員は、直接的に法的な責任を問われることはありません。
 校長先生が「君が代斉唱の時は起立しなさい」と指示し、教員がそれに従わなければ、業務命令に反するということで懲戒の対象になります。(これは法にふれるということではなく、業務規則にふれるといういうことでの処分ですね。)ただし、業務指示が不当なことも考えられるので、人事院等に業務指示が不当なものであることはアピールできると思います。
 医療の場合は、医師−医療心理師が指示関係になり、医療心理師は医師の指示のもとでカウンセリングを行い、法律的な責任は医師も負うことになります。医師が医療心理師にカウンセリングを指示し、医療心理師がその患者にはカウンセリングは不要と考えて指示に従わなかったとしましょう。これが、医師法のどこにふれるのでしょうか?医師法で多くの場合問題になってくるのは、医師でないのに医行為を行った場合、または医師の指示がないのに診療補助職が医行為を行った場合です。医師の指示に従わず、医行為を行わないことの罰則規定など医師法には定められていません。医行為ではない指示関係ならなおさら法律違反とは考えられません。
 もちろん、このような指示に従わないことで患者さんに重大なダメージを与えた場合には業務上過失傷害、致死などの罪に問われることになりますが、想定しているのは医師の不当な指示ですからこれはあまり関係ないと思います。
 また業務上の指示に従わないということで、病院などの組織内の業務違反とされ懲戒の対象となることもあるだろうと思います。
 
 また指示が責任関係であるということを考えると、


 医療以外の領域の心理職も「医師の指示」に従わなければならない
 というような状況はナンセンスです。もしそのような状況になったら医師は自分が直接関わらないところで行われる心理療法にまで責任を引き受けなければならず、もちろんそれは一銭のお金にもならないのですから。
 
 少なくとも法律にふれるというならば、何法の何条にふれるのか明示しないと混乱を招くと思います。