子どもの心理臨床入門/永井徹


序章 子どもの心理臨床とは

はじめに
本書の概観

第Ⅰ部 子ども理解の基本的理論  
第1章 問題と症状からみた子ども理解
 第1節  病因論を中心とした問題の理解
 第2節  DSMを中心にみた子どもの問題について
 第3節  わが国の心理臨床における子どもの問題の特徴

第2章 子ども理解のための自我・自己・たましい                 
 第1節 自我の働きを理解する
 第2節 自己からみた人間理解
 第3節 たましいの視点から考える子どものあり方  

第3章 子どもの時間体験
 第1節 時間の性質
 第2節 子ども理解のための発達理論
 第3節 乳幼児期の発達段階を中心とした理論の展開
 第4節 目的論的な視点から

第4章 社会・家族の中の子ども
 第1節 社会としての一般システムからみた子ども
 第2節 家族の中の子ども
 第3節 家族システムとコミュニケーション

第Ⅱ部 子どもの心理臨床の実践
第5章 子どものセラピーにおける基本的問題
 第1節 子どもの相談における3つの支援モデル
 第2節 セラピストの態度と姿勢
 第3節 初回面接における課題
 第4節 セラピー過程における課題
 第5節 セラピーの終結

第6章 子どもの表現する心的世界と現実 
 第1節 ケースの概要 
 第2節 プレイセラピー過程
 第3節 考察

第7章 プレイセラピーを通して基本的な信頼関係を築く
 第1節 ケースの概要
 第2節 プレイセラピー過程
 第3節 考察

第8章 アスペルガー障害と考えられる子どもとの関わり
 第1節 ケースの概要
 第2節 プレイセラピー過程
 第3節 社会に出てからの関わり
 第4節 考察

 引用・参考文献
 あとがき
 索引

 テキストです。前半は内容が豊富すぎてやや羅列気味かな。特にDSMの症状の羅列をするとページかせぎに見えてしまいます。毎度のことですが、医療モデル=病因除去モデルとだけしか書かかないのはとても恥ずかしいことだと思います。後半は遊戯療法の事例が多く実践的な内容になっています。初学者以外でも後半部分は勉強になるでしょう。

p.110 「純粋さは自己一致とも訳されており」 genuineness と congruence ではないのでしょうか・・・

p.136 「ウルトラマンと地球防衛隊」 ウルトラマンに出てくるのは「科学特捜隊」、もしHくんが「防衛」という隊を別に考え出したなら、そのことに意味があるはず・・・と思ったけど p.139 で「ウルトラブレスレット」が出てくるところを見ると、「帰ってきたウルトラマン」の時代なんですね。この時代ならウルトラマン科学特捜隊という強い等式はなりたちませんね。脳波怪獣ギャンゴなんて書いてるのを見て同時代の話かと思ってしまいましたが、考えてみると永井先生と僕はそんなに年が離れてるわけでもなかった・・Hくんがかなりの怪獣好きなんですね。確かに「ウルトラマンとマット」じゃあしまらない・・・

第7章の事例 面接のルールとしてではなく、in-out の問題を抱えている子どもですから、箱庭のパーツをあげたりしてはいけないと思います。いったん貸して、返してもらうという作業をしたらよかったのではないでしょうか。

子どもの心理臨床入門
4760823247永井 撤

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