筆者はフランスの精神科医。プラシーボ効果についての書籍です。原著は精神分析に対して批判的。世界各国のプラシーボについて例証していますが、中にはかなり怪しいものも。例えば
著者はきっと舞城王太郎「熊の場所」を読んだに違いありません。
しかしこの薬の国際開発が進むうち、日本ではこのロゴマークを引っ込めなければならなかった。 日本は特殊な象徴体系を持った国で、熊は死を意味しているからである。
訳文は固さが目立ち、恐らく意味がわからず日本語に置き換えているだけのところがかなりあります。精神分析の知識不足で頭の中で変換が必要です。
- p.24 「百ガンマのLSD」 ガンマは日本ではなじみのない単位だからμg(マイクログラム)あるいは百万分の一グラムと置き換えるのが親切でしょう。
- p.25 「枯草熱」 もう花粉症でいいんじゃないでしょうか。
- p.30 「古代エジプトには西暦紀元前16世紀のゲオルグ・エバースがパピルス紙に書いた古文書」 紀元前16世紀にこんな名前の人がエジプトにいるわけはないのですよね。 Georg Ebers はパピルスを発見した考古学者 http://en.wikipedia.org/wiki/Georg_Ebers
- p.114 「一時的な対象」→「移行対象」
- p.116 『ミシェル・バリントの言う「医者が作った薬」』→『マイケル・バリントの言う「医師自身が薬」』
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