手におえない子/アウグスト・アイヒホルン

 ハインツ・コフートの訓練分析家で、エリク・エリクソンが訓練分析を受けようかと迷った(けれど、結局アナ・フロイトに決めた)精神分析家、アウグスト・アイヒホルンの古典的な非行問題関連書籍。原題は "Verwahrloste Jugend" なので「手におえない青少年」あたりのタイトルの方が内容と一致する。
 1925年に発行された本なので、現代日本の非行問題とはイメージが異なるところも。事例は「家出した13才の少年」、「母親の事故死後、定職に就かず放浪する16才の少年」など。
 歴史的に見ればやはりコフートに与えた影響が気になるところ。非行臨床という厳密な自由連想ではない行動に力動的理解を示すのと、青少年の成長過程での自我理想との同一化を強調するところなどは、コフート理論に近いところも感じられる。

手におえない子 (1981年)
手におえない子 (1981年)三沢 泰太郎

誠信書房 1981-10
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