インタビュー臨床心理士 2/津川律子 安齋順子

 第二巻は、村瀬嘉代子、鶴光代、鵜養啓子、平木典子の諸先生方。
 村瀬先生のお話は読むたびに新しいエピソードで新鮮に語り直されるという感じでやっぱ凄いね。人は技法を継承することはできない。「心理臨床は一代限り」。素敵な言葉です。


 鶴先生は情感の成瀬先生との師弟関係の描写がやっぱおもしろい。
 鶴先生が自律訓練をクライアントにしたという話を聞いて「少しくらいできて、ひとにやっていいんですか」って怒っておきつつ、別の機会には「自分のしたことしかできないようでどうする」としかる。まるで禅問答の領域です。


 鵜養先生は先輩で一緒に学んだ仲間なのでいろいろバックグランドが読めておもしろかったです。
 鵜養先生が学卒でいきなりスクールカウンセラーを始められて研修の場を佐治先生に相談したときに、佐治先生から東大の相談室に来なさいと勧められるという話があります。


鵜養 当時博士課程に在籍していた飯長喜一郎さんが、そこのチーフをしていたんですが、飯長さんに電話したら「いくら佐治先生がいいといったからって、そんなに簡単にはいれるもんじゃない」といわれてたんですけど、「いれてもらわないと勉強ができなくて困る」といって入れてもらいました。(中略)
−チーフは佐治先生?
鵜養 教官としてはそうですね。
(p.56)
 ここのずれがおかしかった、っていうか外部の人にはニュアンスがわかりづらいんだなってことを改めて感じました。佐治先生・近藤先生時代は東大の心理教育相談室って実際的には学生の自主管理なんですよ。このあと飯長先生が助手になられていったん解消するけどまた元に戻る・・・運営委員会とか教員はほとんど来ませんでしたしね。
 そういうものかと思っていたんですが、五大学症例検討会なんかいくとどうも他大学は違うらしいということがわかってくるわけです。大学在籍したときに学会になんか一度もいったことなかったし、臨床心理士なんか申請しようとも考えなかった。みまわしても先輩の中には臨床心理士身取得の方も結構いる・・・ふりかえると結構特殊な環境でしたが、自分の臨床的スタンス形成には大きな影響を受けたと思っています。


 平木先生にはTIPSで家族療法の基礎を学んでいたので、これも興味深く読みました。インタビューアーの人がウィリアムソンを知らなくてちょっとびっくり。学生相談領域、ロジャーズ関連では有名な方ですが、心理学史に興味があっても抜け落ちることもあるのかなと思いました。

インタビュー臨床心理士 2 (2)
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