精神医療と社会/藤沢敏雄

 「生活臨床」といったって今の特に心理職の人々にとっては何それ?っていう感じなんだろうと思う。実はその影響力は大きくて例えば集団精神療法学会なんかに病院としてまとまってくるようなところは昔生活臨床やっていて、その流れで集団療法を導入して、その流れが今でも続いているようなところが多い。ぼくが今でも大学でグループをやっているのは、やっぱり三枚橋病院での集団療法が病棟の基本的な風土となっていたことの影響が大きい。
 筆者は松沢病院、武蔵療養所とそこでの院長秋元波留夫氏との対立を経て、陽和病院の院長(森山公夫氏の前?それとも間に誰かいるのかな?)となった精神科医。同僚として挙げている医師が後に三枚橋病院でお世話になったり、諸版の編集長が後に三枚橋病院の事務長となったりと個人的な経験との結びつきも深い。陽和病院でも赤マーク方式(開放病棟で調子の悪い患者さんには御願いして外出を控えてもらう)を実践していたと書いてあって懐かしかった。
 生活臨床というタグをつけちゃったけれど、筆者はむしろ生活臨床の発展的な批判を試みた方。こういう文学的というか全共闘的連帯がにじみでるような臨床って何だか最近ははやらないんだろうけど、やっぱりこういう泥臭いところが基本なのかなと思う。

精神医療と社会―こころ病む人びとと共に
精神医療と社会―こころ病む人びとと共に藤沢 敏雄

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