アセスメントを巡る昏い想い 「精神科臨床における心理アセスメント入門/津川律子」

 心理アセスメント関連のことを読んでいると昏い気持ちになる。津川さんが知能検査がいかに患者さんの役に立つか書いているのを読んでもどうもついていけない。分裂前の日本臨床心理学会が心理テストを問うたりするのとは一緒にされたくはないと思いつつ、基本的なネガティブな感覚というのは変わらない。思い返せばぼくだって大学院時代はピオトロフスキー法だのロールシャッハ法を無邪気に熱心に勉強していたのだ。やっぱり総合病院勤務時代に神経内科の患者さんに知能検査を取らされた体験が大きく影響しているのだろう。神経的な疾患で衰えた能力に患者さんを直面させるのはとっても残酷だった。検査が決まってお会いする前に自殺した患者さんもいた。知能検査を取ると医師から言われた影響がどれくらいあったかはわからないけど、必要なのは検査ではなくてサポートだった。そういうことに荷担してしまったという体験は、まあなかなか変えられない。頭では検査も使いようとは思うけど。時代遅れになって消えていくような臨床家でありたいと思う。


 昏い想いついでにいえば、ロールシャッハを見て生活を立て直す必要があるから朝6時に面接を設定するといったエクスナーにちっとも共感できない。それはパワハラとどう違うの?


 ちなみに"assessment"の初出の語義は「税金徴収のための資産査定」だってさ・・・。

精神科臨床における心理アセスメント入門
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