著者が事例であげている偶発時というのは、セラピストの妊娠、クライアントが箱庭を作ろうとしたときにならされた状態ではなかったこと、クライアントの交通事故。セラピストの妊娠をヒューマンエラーという文脈で語ったりすると、えっ避妊に失敗したんですかと思ってしまいます。<セクハラですね。すみません。>
多分、面接室という聖化された純粋な空間を想定してそこからの逸脱を考えてるから、そういうふうになっちゃうのですね。実際はセラピストもクライアントも多くの偶発事を重ねながら生きているのにね。
著者の主張によれば偶然にもただの偶然の偽共時性と、本当に意味ある偶然の共時性は違うらしいです。それは特権を持つセラピストのお墨付きがあるかどうかなのでしょうか。よくわかりません。
なくはないけれど、セラピストの現実的な調整能力の不足のために、現実的・外的な支援が得られないクライアントの方がずっと多いんじゃないかと思います。
心理療法が深まり、確かにこの方向でいいのだと思いつつも、このまま内側へと向かい続けるのでいいのだろうかとセラピストが不安になってしまい、実際にセラピストが外側の調整など解決を助力する方向に動いてしまったことで、心理療法の場で起こった何かが拡散されてしまうような体験をしたことがないだろうか。 (p.11)
心理療法における偶発事 | |
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