ユング
「1Q84」に関しては佐々木中さんの「生への侮蔑、『死の物語』の反復」を読めば十分と言う気がしています。 村上春樹はオウム批判をしつつ、オウム事件の反覆を天吾と青豆に演じさせている・・・ プレモダンとしてのカルトが超越性というキーワードでユング…
ユング賛美本。エドワード・グラバーの次の文章は興味深いね。 「正統フロイト派はクライン理論を神秘的逸脱としてすでに難詰した」 ようするにクライン理論が出てきたときに、正統フロイト派の分析家はこれをユング的逸脱だと思ったのだね。ロマン主義的な…
著者自身の事例も掲載されている。ユング心理学 (図解雑学)福島 哲夫 by G-Tools
古典的なユング入門書。 ユング (1980年) (Century books―人と思想〈59〉)林 道義 by G-Tools
読みやすくはありますが、コンプレックスのことがアドラーの劣等コンプレックスの意味で使われていたりと中味はちょっと心配な感じ。 ユングの元患者、愛人のトニー・ヴォルフがユングの家に同居していたって書いてあったけれど、ソースはどこかな。手にとる…
カラー図版が多くておもしろいですね。ただ、ユングに甘いのは以下同文。 当時のスイスの社会では、医師が患者と深い仲になることは道徳的にとうてい許されないという考えが支配的だった。(p.58) シュピールラインとの性的関係のことを言ってるわけですが、…
著者の個人的なユング心理学との出会いが三分の一、理論が三分の一、物語解釈が三分の一という感じ。 ユングにあまいのはまあ仕方ありませんね。やさしくわかるユング心理学―あなたの深層心理を読み解く一歩山根 はるみ 日本実業出版社 1999-10売り上げラン…
『ユング自伝』が自伝に値しない検閲まみれの本だとか、TATのマレーの愛人でTATの絵を描いたクリスチアナ・モルガンとユングの不倫説は嘘、とか。ただ記述が包括的なものと言うよりは、マニアックな常識を前提としている批判的なものなので、例えばシ…
発行日は震災の2日後。以前書かれたものの再録なんだけれど、精神病、人格障害、神経症という病態水準を津波と人間の関係に喩えている部分が何ともいえない感じ。津波=龍の被害になすすべもなく翻弄されるのが精神病水準、時折龍に喰われたりしながらも、龍…
いとこの霊媒ヘレーネ・プライスヴェルクを博士論文で扱い、ほとんどプライバシーを暴露した上で、退化した血だのといったひどい書き方をして故郷に住めなくしてしまったり、患者であったザビーナ・シュピールラインとの専門家として非倫理的であるだけでな…
ユングの本から切り取ってきた文章にタイトルつけて並べただけの本。出典「全集」ってあんまりじゃないかな。ユング名言集カール・グスタフ ユング フランツ アルト PHP研究所 2011-01売り上げランキング : 227920Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 斎藤…
ユングによるほとんどアウトサイダーアートというかLSDでトリップしながら描いたみたいな曼荼羅絵多数の豪華本。 この本を見たらヒッピーのルーツがスイスにあったっていうことがよくわかる。オットー・グロースのいたアスコナのあたりの性的オープンさ、内…
ほんとうは恐ろしいユング「心の深層」の構造、ってタイトルの方がよかったかな。姪の霊媒や、娘への近親姦的願望(これはソースがあるのかしら)まで、美化しすぎず描いているところがいいですね。マンガユング「心の深層」の構造―全生涯とその分析心理学 (Ko…
うつになったマンガ家がユング派のカウンセラーとの間で家族や仕事上での対人関係を整理していくまで。 基底に怒りがあるようなうつの場合は心理療法は結構効くと思います。いちばん面白かったのは筆者の次のコメント。カウンセラーに対する怒りも生じるんだ…
ユングそのものがオカルトかどうかはおいておいても、まあこの本はそのずーっと先をいくオカルト本ですね。 最初の方は何とかシンクロニシティあたりでユングとつながっていますが、だんだんそこからも逸脱していって、光の波動的な性質から、もの自体の意志…
ユング派の立場からみたナルシシズムの病理を昔話などの解釈などを通じて。理論的な部分は結構精神分析を陰陽していて、「見捨てられ」から論は進められています。ナルシシズムが「自己愛障害」と訳されているのが、なんとも落ち着かない感じです。タイトル…
「心層」っていう奇妙な造語に関してはどこかに説明があるかと思って読んだけど結局見つかりませんでした。もしかしたら見落としているかもしれませんが。 まあイニシャルケースでもあるし仕方がないとは思うのだけど、母親によって親戚宅に放置され施設に入…
夢を利用した認知行動療法というのがあるらしいのですが、それを箱庭療法に応用したもの。作ってもらった箱庭に主人公を設定し、その主人公の感情、認知スキーマ、作り手自身の認知スキーマとの比較を質問紙で調査したもの。 夢の場合は夢主の中に修正を要す…
ミステリで読者の先入観を利用して叙述を工夫することで読者を引っかけるタイプのトリックを叙述トリックといいますが、この本のタイトルにはもののみごとにひっかかりました。 「子どもイメージ」って当然クライアントに生じるものだと思って読み始めたので…
「心理臨床家」は、自分自身すなわち「個」を徹底的に見つめることなくして心理臨床の実践を行うことはできない。(p.21) という主張通り、論は著者の「個」を見つめる営みから始まる。そして師である河合隼雄のコメントや自らの訓練分析の体験。著者自身のフ…
著者が事例であげている偶発時というのは、セラピストの妊娠、クライアントが箱庭を作ろうとしたときにならされた状態ではなかったこと、クライアントの交通事故。セラピストの妊娠をヒューマンエラーという文脈で語ったりすると、えっ避妊に失敗したんです…
ユングと精神分析家のサールズの共通点を探った著作。サールズっていうと統合失調症患者への精神分析、逆転移についての考察で有名だけど、ユングとの関連といってもあんまりピンと来ませんでした。サールズの著作をユング的に拡充法的に考察している感じ?…
こちらも「水」をテーマにしたユング派論考。序文を河合俊雄先生が書いてます。 ちゃんと事例に戻ってきたのでそこはほっとしました。それはそれで自らのイメージのつながりの例証として事例があるみたいな構造が個人的に苦手。事例研究と名うつからには、個…
山姥論、童話の分析からはいって、現代の山姥たちの臨床例に戻る、かと思ったら戻らない。そこがユング派ですか。山姥、山を降りる―現代に棲まう昔話新曜社 2009-02売り上げランキング : 72092Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 フツーの子の思春期―心理…
シェイクスピアの研究家の松岡和子氏、茂木健一郎氏の講演+高橋祥子氏の事例報告。 茂木健一郎さんは講演で、東大の学生相談所のエンカウンターグループに参加したことにふれています。同時期に在学していて、ぼくもエンカウンターグループにはでていたので…
ユングのとりまきの女性をユング・フラウっていうのは知ってましたが、ヴァルプルギスとかなんとかいろいろ表現があるようですね。 患者だった女性がどんどんまわりで心理療法家になってユング詣でをするってほんとカルトのにおいただよいますね。自分らしく…
同名のシンポジウムを本にしたもの。何か超越性の特権化みたいな話は聞いてると他宗教の攻撃みたいな感じでいやになっちゃう。スピリチュアル・セラピーみたいなのはダメな超越性で、ユングのいう超越性や、ネイティブ・アメリカンの超越性は素敵みたいな。…