強烈な叙述トリック!「子どもイメージと心理療法/網谷由香利」

 ミステリで読者の先入観を利用して叙述を工夫することで読者を引っかけるタイプのトリックを叙述トリックといいますが、この本のタイトルにはもののみごとにひっかかりました。
 「子どもイメージ」って当然クライアントに生じるものだと思って読み始めたのですが、実は違うのです。セラピーをやっているあいだにセラピストのこころの中に生じる子どもイメージのことなのです!!!
 筆者はセラピーの中でセラピストの中に生じるイメージや、セラピスト自身の幼児期の記憶を重視するようです。何だか読んでいて主人公はセラピストという感じがしてきます。
 しかもそのイメージは何かクライアントには秘密にしておきたいものなのだそうです。(クライアントには読んでほしくないと後書きに書いてあります。)いや、ちょっとついていけませんね。
 自分はセラピストの個人的なイメージや体験の記憶が意味を持つとしたら、クライアントと共有するときだろうと考えるので立場が反対ですね。

子どもイメージと心理療法
子どもイメージと心理療法網谷 由香利

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(←べ、別にクリックしてほしいわけじゃないからね。勘違いしないでよねっ!)