「子どものこころが傷つくとき―心理療法の現場から/網谷由香利」
筆者はユング派の故・織田尚生先生のお弟子さんで、ご自身もユング派のようです。
カバーのあおりに「サイコセラピストとして、その驚異的力量が注目されています」とありました。うらやましいですね。ぼくも驚異的力量で注目されてみたいです。
版元は第三文明社なので創価学会系の出版社ですね。同じ出版社の一般向けの雑誌に連載されたものをまとめたものなので、平易な文体で書かれています。タイトルからわかるようにバッドマザー理論で、それに傷つく子どもという枠組みです。拒食症なんかは次のように説明されています。
このような表現が出てくる背景には、親の無理解によってダメにされる子ども、本当の子どもの姿を理解するセラピストという理解の枠組みがあるようですが、そういうのは個人的にはちょっと苦手です。
または、母親の「愚痴」という”汚物”を体内に入れたくないという無意識的な防衛から、「摂食障害」という症状が表れる場合もあります。(p.208)
昼夜逆転は「回復のための守り容器」(p.169)、ひきこもりは「ICU(集中治療室)に入るのと同じ」という記載もあります。そのように感じられる事例があるのは理解しますが、ちょっと一般化しすぎじゃないでしょうか。
ルイス・フロイスなんかを引いて、昔の日本は子どもを大切にする文化だったが、現代社会ではそれが失われてしまった、というような主張もありますが、そんなに簡単には言い切れないないように思います。農村だったらきっと労働要員として酷使されたでしょうしね。
セラピストとしての成長過程では、主に関わる対象に強い思い入れを抱くのは悪いことではないと思いますので、うまく次のステップにつながっていくといいなと思います。
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