文学

女と蛇―表徴の江戸文学誌/高田衛

女と蛇―表徴の江戸文学誌高田 衛筑摩書房 1999-01売り上げランキング : 804695Amazonで詳しく見るby G-Tools

放浪のダダイスト辻潤―俺は真性唯一者である/玉川信明

日本初の自称ダダイスト、大逆事件で夫のアナーキスト大杉栄と一緒に殺された伊藤野枝の元夫、野溝七生子、林芙美子の愛人であり、「ですぺら」の作者でもある辻潤の伝記。生来犯罪社説で有名なイタリアの精神科医チェザーレ・ロンブロゾーの「天才論」の翻…

西遊記の秘密―タオと煉丹術のシンボリズム/中野美代子

西遊記と五行思想。中野先生が回文者だということを知る。西遊記の秘密―タオと煉丹術のシンボリズム (岩波現代文庫)中野 美代子岩波書店 2003-04売り上げランキング : 266783Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 西遊記―トリック・ワールド探訪 (岩波新書 …

文学は別解で行こう/鹿島茂

文学は別解で行こう鹿島 茂白水社 2001-03売り上げランキング : 169101Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 勝つための論文の書き方 (文春新書) 悪女入門―ファム・ファタル恋愛論 (講談社現代新書) セーラー服とエッフェル塔 (文春文庫) 乳房とサルトル 関…

孫悟空の誕生―サルの民話学と「西遊記」/中野美代子

日本でも非常になじみの深い物語『西遊記』の起源は何か。『マハーバラタ』のハヌマーンではないかなど、いろいろな説があるみたいだけれど、そんな単純な起源論ではなく、様々な物語が混交されて現在伝えられる物語が多重決定される様子がうかがえて面白い…

漱石―母に愛されなかった子/三浦雅士

この本の漱石の『坊っちゃん』の甘えに関する記述を読んで、北山先生の「見るなの禁止」論のことをもう一度考え直した。 妻=母との分離を否認する与ひょうは鶴の姿を見て、女の母性・獣性にたじろぐ。その気持ちを察してつうは去っていく。『坊ちゃん』と『…

危ない食卓―十九世紀イギリス文学にみる食と毒/横山茂雄 編

横山茂雄先生は奈良女子大英文学の研究者であり、本業としてはトマス・ド・クインシー、ウィルキー・コリンズの翻訳、それからゴシック関係ではこんな著作もありますが・・・。異形のテクスト―英国ロマンティック・ノヴェルの系譜横山 茂雄国書刊行会 1998-0…

カフカの夢分析/フェリックス・ガタリ

先日図書館でたまたまカフカの恋人だったミレナ・イェセンスカの伝記『カフカの恋人ミレナ』を手に取りました。『ミレナへの手紙』という巻がカフカ全集にあることは知っていたけど、読んだことはなくて、なんとなくさえない保険会社の社員カフカの垢抜けな…

フランス小説の扉/野崎歓

野崎先生によるフランス文芸エッセイ。関係ないけどアマゾンで「フランス小説」なんて検索すると、検索結果が「フランス書院」の影響受けすぎ。フランス小説の扉野崎 歓白水社 2001-05売り上げランキング : 614505Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 五感…

われわれはみな外国人である―翻訳文学という日本文学/野崎歓

フランス文学や翻訳についてのエッセイ。著者の翻訳への愛には学ぶところ多し。あのスタンダール問題にはちょっと引っかかるけど。 意識的に野崎先生の文章に接したのはカミュの『よそもの』の本でしたが、翻訳ではトゥーサンやギベールのやつでもっと前に拝…

第60回読売文学賞に岡田温司氏の『フロイトのイタリア』

『臨床心理学』のベスト5では取り上げなかったのですが、美術とイタリアという非常に新鮮な切り口でフロイトを取り上げている刺激的な本です。これが面白かったので前著の『ミメーシスを越えて』も読んでいるところ。受賞、おめでとうございます。フロイト…

図説 太宰治

図説 太宰治 (ちくま学芸文庫)日本近代文学館 筑摩書房 2000-05売り上げランキング : 347256Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 太宰治 (岩波新書) 太宰治に聞く (文春文庫) 桜桃とキリスト―もう一つの太宰治伝 (文春文庫) 辻音楽師の唄―もう一つの太宰治…

中井英夫戦中日記 彼方より 完全版/中井英夫

カバーの若き日の中井英夫がかっちょいいですね。アンチミステリ「虚無への供物」の作者の戦中の日記。母親の死にあたって殉じて死ぬことまで考えた強い結びつきのことは初めて知りました。中井英夫戦中日記 彼方より 完全版中井 英夫河出書房新社 2005-06-1…

澁澤龍彦との日々/澁澤龍子

澁澤龍彦の二番目の奥様の回想記。龍龍カップルなのはひとまわり旦那が上の辰年生まれだからなんですね。編集者ということで何となく元文学少女の耽美系という感じなのかと思ったら、スポーツライターになりたかったというアウトドアでアクティブな方でした…

エレクトラ―中上健次の生涯/高山文彦

作家中上健次の伝記、というにはやや抵抗がある。芥川賞を受賞し作家として活動した時期に当てられているのはわずか一章で、被差別部落に生まれた私生児という自らの出生、血縁関係を身を削ることで文学という形にしていった半生と、癌に冒されてからの死に…

中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)

未発表作品を含むムック本。未発表作に関してはまあご愛敬という感じ。 『初稿・死者の書』の安藤礼二の「密室論」が注目。そういえば同性愛と短歌って共通点があるね。中井英夫と折口信夫。中井英夫―虚実の間に生きた作家 (KAWADE道の手帖)河出書房新社 200…

森茉莉かぶれ/早川茉莉

手紙形式で書かれた森茉莉へのオマージュ。なんだかカフェに行きたくなるね。 東京に出て初めて住んだところは代沢だった。森茉莉が贅沢貧乏暮らしをしていたアパートがあったのも代沢。その頃には森茉莉は経堂に引っ越して言ってしまっていて、そしてすぐに…