指示と指導(続き)

 法律で「指示」と書かれたからといって、医師が自分の指示に従わなかった医療心理師を告発するわけでもなければ(現実的な判断力を持った方ならということですが)、秘密医師法警察があって医師の指示に従わない医療心理師を摘発するわけでもありません。現実には医師法を持ち出さなくても業務指示違反で懲戒処分にすればいいのですから、通常の組織での上司への指示に従わないことと同様に考えればよいのです。
 医師の指示に従いたくないときにどうすればよいか。不適切なカウンセリングの指示が出た場合、まず医師に対してその指示の不適切な部分を指摘することが必要です。それでも納得していただけない場合、直属の上司であれば直接、別系統であれば所属長より業務命令として指示に従うよう伝えられるでしょう。この場合、指示に従わなければ懲戒の対象になりますから、指示に従わざるを得ません。業務が終了したら、職場の労働組合と連絡を取り(ない場合は結成する必要があります)団体交渉を病院側に申し入れます。それから労使交渉ということになるでしょう。他の職域でも不当な上司の業務命令に対してはこのような対応が取られると思います。
 まあ、これは本格的に戦う場合ですので、おすすめするわけではありません。嫌な上司との関係に悩む方の相談を受けたとき、どう相談に乗るか考えたらいろいろ対応策は出てくると思います。