クラインは遊戯療法をしない 「遊戯療法 二つのアプローチ/吉田弘道・伊藤研一」

 新刊かと思ったら97年発売の書籍の復刊でした。
 ロジャース・アクスラインのパーソンセンタードセラピーの流れについて伊藤先生が、精神分析的な流れについて吉田先生が書かれています。
 これはよくある誤解でこのブログでも何回も書いていると思いますが、特にクライン派の人々は言葉の代わりに子どもの遊びを解釈するのであり、子どもと一緒に遊んだりしないので遊戯療法と呼ぶべきではないと思います。
 いまは子ども分析 child analysis という言葉を使うようですが、もともとこれはアナ・フロイトが使った用語で、クライン自身は早期分析 early analysis という言葉を使っていました。この言葉には時期は早いがフルの分析であるというクラインの気概が込められていると思います。

 
 吉田先生のプレイセラピーの実例ですが、やっぱりクラインの影響が強いらしく面接の初期段階からの深い解釈が多いですね。個人的にはフィギュアが誰をさしているか、という解釈より情緒に焦点を当てたいです。「その埋めた人って、吉田先生ともう一人の先生かもしれないね。だってAちゃんとお母さんと一緒にいたいのに離しちゃったからね」じゃなくて「女の子はちょっと怒ってるのかもしれないね。怒ったからうめちゃったかもしれないね。でも埋めちゃうとちょっとかわいそうと思ってるかもね。」っていいたい。

遊戯療法―二つのアプローチ
遊戯療法―二つのアプローチ吉田 弘道 伊藤 研一

福村出版 2010-02
売り上げランキング : 405140

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
プレイセラピー―関係性の営み
いま、思春期を問い直す―グレーゾーンにたつ子どもたち
認知療法・認知行動療法カウンセリング初級ワークショップ―CBTカウンセリング
心理学 (New Liberal Arts Selection)
認知行動療法100のポイント