インターフェイスの重要性 「脳科学にもとづく子どもと青年のセラピー」

 きちんとした科学理論にもとづかないセラピーはダメみたいなこという人は良くいるけれど、正しい理論に基づいて間違ったことが行われることなんていくらでもあるんだよね。きちんとした本でも翻訳がダメだと全然読めないみたいに。
 はやりの脳科学的な本ですけど、ウィニコットとかボールビーとか精神分析関連のことも結構書かれていますが、訳者の方は精神分析についてはあんまり詳しくないみたいで間違いが目につきました。科学的な文章は良いのですが、臨床例とかの部分はダメダメです。

  • p.70 Winnicott は「赤ちゃんにはありえない」という立場 →「ひとりの赤ちゃんというものは存在しない」 母子ユニットのことですね。
  • p.70 Cess → Chess
  • p.70 母親がその手助けに失敗すると衝突が起こる。 → 侵襲(impingements)
  • p.94 Elloworth → Ellworth
  • p.119 嵐とストレスの時期(a period of storm and stress) まあ間違いじゃないんだけどドイツ語の"Sturm und Drang"(疾風怒濤)の英訳ということがわかっているのか心配になる。
  • p.164 内科医が子どもに「スピードを与える」ことに対して 訳注までつけるのならスピードが覚醒剤、麻薬を指すことを書かないとダメでしょう。
  • p.197 率直に言うと、彼女の両親のことはまったく考えないわ(don't think a lot of her parents) → はっきりいって、ご両親のことはあんまり高く買えないわね
  • p.215 精神疾患の診断と統計のマニュアル(DSM-Ⅳ)の第4版では → DSMの第4版 じゃないとおかしい。
  • p.218 コンチゾール → コルチゾール
  • p.231 子どもと家族の精神医学への照会(referral)だった。 → 児童精神科に紹介された。

脳科学にもとづく子どもと青年のセラピー―日々の実践に役立つ治療法
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