宗教

「大学の宗教迫害/室生忠」

大学での主に統一教会系サークルへの「迫害」を扱ったドキュメントとインタビュー。編者の室生忠氏は、雑誌「創」に掲載した「知られざる『強制改宗』をめぐる攻防- 強制説得の担い手たち」の記載をめぐり浅見定雄氏から名誉毀損として訴えられ、最高裁まで…

「官能仏教/西山厚 愛川純子 平久りゑ」

「南都官能学会」の3人がセクシュアリティという面から仏教を語る。「ツンデレ菩薩」などというテーマで会合を開いているらしい「南都官能学会」組織までいきさつももうちょっと知りたいところ。 歓喜天(仏教的には「かんぎてん」と読む)とはヒンドゥー教…

「精神世界のゆくえ/島薗進」

先日の日本臨床心理学会の全体会でも指定討論で非常にディスカッションを盛り上げて頂いた宗教学者島薗先生の御著作。 心理療法を他の社会的な潮流から眺めるという作業はいろいろな論者が行っている。例えば過去のマルクス主義、現代であればグローバリズ批…

「統合失調症と宗教 医療心理学とウィトゲンシュタイン/星川啓慈 松田真理子」

宗教学の星川先生と、ユング派、統合失調症の神秘体験につていの著書のある松田先生のコラボレート本。半分はふたりの対話なので読みやすい構成です。 p.25 夢の内容があまりにも素晴らしいだけに、ウィトゲンシュタインが自分の夢をプロトタイプで表面的な…

「スピリチュアリティの興隆/島薗進」

今年の日本臨床心理学会の全体会に指定討論者としてご参加いただく予定なので、予習。 山尾三省の「部族」、日本初のロック喫茶「ほら貝(2008年閉店)」。 桜井亜美の「イノセント・ワールド」とグノーシスの類似点など。スピリチュアリティの興隆―新霊性文化…

「癒しの森―心理療法と宗教」

實川先生が書いているのでチェックのため読みましたが、平井孝男先生の仏教的心理療法、今は亡き井上亮先生のイニシエーション論、精神科医塚崎直樹先生の「行」と心理療法、黒木賢一先生のトランスパーソナル論となかなか役者がそろっていますね。 實川先生…

紆余曲折の高野山史 「高野山金剛峰寺 (日本の寺院シリーズ)」

政治的弾圧、天災、血を血で洗う内部抗争など紆余曲折の高野山の歴史。 女人禁制の高野山が明治維新で女性に対しても開かれるけれど、しばらくは「女狩り」といったがさ入れが行われたなど興味深い記述有り。高野山金剛峰寺 (日本の寺院シリーズ) (1972年)学…

サブカル的転生譚への興味 「異端カタリ派と転生/原田武」

ネオプラトニズムの末裔、ブルガリアの異端ボゴミル派を祖先に持つ現世否定の二元論、造物主=デミウルゴスは汚れた神であるが故、生殖否定、一部には自殺奨励までの現世否定、超カルトで国内なのに十字軍送られて殲滅させられた異端カタリ派。 タイトルにあ…

近代論―危機の時代のアルシーヴ/安藤礼二

折口信夫を出発点として、南方熊楠、柳田國男、鈴木大拙、西田幾多郎、井筒俊彦の五人を取り上げ、民俗学、宗教学、哲学などが混沌としたロマンをたたえていた「近代」のはじまりのうねりを取り上げる。 柳田國男をめぐって著者は大塚英志の自然主義感は柳田…