哲学

「木田元の最終講義/木田元」

上巻だけで20世紀の思想にこれほど影響を与えた「存在と時間」って、前半だけで乱歩賞の最終候補に残った「虚無への供物」みたいなものでしょうか。木田元の最終講義 反哲学としての哲学 (角川ソフィア文庫)木田 元 角川グループパブリッシング 2008-05-24売…

「僕とツンデレとハイデガー/堀田純司」

会社に入ってもさえない主人公の青年が交通事故に間にあった間に見た夢、それは幼なじみの少女=妹に導かれながら8人の少女に顕現した哲学者から彼らの思想についての話を聞くというものだった・・・。という設定だけでなんか切なくなってきますが、もうちょ…

「のための哲学/永井均」

「翔太と猫のインサイトの夏休み」がおもしろかったので読んでみました。かつてはぼくも哲学に憧れた時期がありました。結局大学で哲学史を学んでもしょうがないと思って文学部には行きませんでしたが、結局抽象的な思考は苦手ということが後から判明したの…

「中学生からの哲学「超」入門―自分の意志を持つということ/竹田青嗣」

全国大学保健管理研究集会で初めて下関市に。標識に併記されているハングルとかみて下関って半島の影響強い街だな、と思いつつコリアン・タウンでメシ喰って海峡夢タワーにのぼったらそこにあった雑誌に松田優作の出身地だってことが書いてあった。偶然持っ…

「カント/岩崎武雄」

装丁はモダン、しかし中味は1958年のもの。ラカンの "l'imaginaire" とか「界」って言葉ないのに何で「想像界」って訳すの、「想像」も「界」もダメ、とか思ってたけど、ようはカントの叡智界・物質界とかの「界」なんだね。カント岩崎 武雄 勁草書房 1996-1…

 「絵画における真理/ジャック・デリダ」

Power Games 引用本。ラカンがフロイトを引用するするときもそうだけど、フランス人がドイツ語で書かれた思想を紹介するときって、絶対別のものになっていると思う。この本のデリダによるカント理解も多分同じという気がする。絵画における真理〈上〉 (叢書…

「翔太と猫のインサイトの夏休み―哲学的諸問題へのいざない/永井均」

「ソフィーの世界」みたいな思想史紹介の本じゃなくて、翔太と猫のインサイトが対話する本当の哲学小説。おもしろかったです。翔太と猫のインサイトの夏休み―哲学的諸問題へのいざない (ちくま学芸文庫)永井 均 筑摩書房 2007-08売り上げランキング : 57453A…

「カント入門/石川文康」

ラカン理解のためにカントを学ぶ。しかし、哲学者ってどうしてこんなこと考えてるんだろうね。カント入門 (ちくま新書)石川 文康 筑摩書房 1995-05売り上げランキング : 21996Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 アリストテレス入門 (ちくま新書) プラト…

「史上最強の哲学入門/飲茶 板垣恵介」

筆者は格闘技マンガ「バギ」のファンだそうで、バトル形式を模した哲学入門。カヴァー絵も「バギ」の作者の板垣恵介。ひきこもり、新自由主義などの現状と結びつけての話もわかりやすかったです。史上最強の哲学入門 (SUN MAGAZINE MOOK)飲茶 板垣 恵介 マガ…

「なにもかも小林秀雄に教わった/木田元」

なにもかも、っていうのは過剰な新書型タイトルかと思いますが、哲学者木田元さんの哲学者たるまでの裏街道の人生と読書遍歴。他の本でもちらちらと書いていることですけれど、まとまって読めます。なにもかも小林秀雄に教わった (文春新書)木田 元 文藝春秋…

哲学・身体を巡る刺激的な対話「精神の哲学・肉体の哲学  形而上学的思考から自然的思考へ/木田元 計見一雄」

一般には対談ものってあんまり好きじゃないんですが、これは面白かった。哲学をわかりやすく解説できる木田先生の魅力が対談形式で生きています。しかもお相手が千葉県精神医療センター名誉センター長で精神科救急というハードな現場でシステムを構築されて…

「統合失調症と宗教 医療心理学とウィトゲンシュタイン/星川啓慈 松田真理子」

宗教学の星川先生と、ユング派、統合失調症の神秘体験につていの著書のある松田先生のコラボレート本。半分はふたりの対話なので読みやすい構成です。 p.25 夢の内容があまりにも素晴らしいだけに、ウィトゲンシュタインが自分の夢をプロトタイプで表面的な…

極めてパーソナルな世界の考察「16歳からの学 「あなた」と「わたし」と「世界」をめぐって/高岡健」

「あなた」という母なる世界を断念することによってひらける「わたし」という古典的な母子分離による世界の展開を文学論を通じて。 いまひとつしっくりこないのは、極めてパーソナルな世界観の展開なのに、考察される世界がブンガクの世界で著者という<わた…

「何も共有していないものたちの共同体/アルフォンソ・リンギス」

哲学の本でした。何も共有していない者たちの共同体野谷 啓二 洛北出版 2006-02売り上げランキング : 152961Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 明かしえぬ共同体 (ちくま学芸文庫) 無為の共同体―哲学を問い直す分有の思考 異邦の身体 自分自身を説明する…

まったく萌えません 「萌える☆哲学入門 ~古代ギリシア哲学から現代思想まで~」

案内役に萌え属性導入くらいでむさ苦しい哲学者の本を「萌える☆」というのは無理があるのでは。登場する女性哲学者はハンナ・アーレント、シモーヌ・ヴェイユ、シモーヌ・ド・ボーヴォワールくらいでかろうじて、アーレントに萌え傾向が見られるくらい。 い…

デカルトからベイトソンへ―世界の再魔術化/モリス・バーマン

グレゴリー・ベイトソンの視点から見る魔術的世界の再評価。1981年の著作だけれど、ヒッピー、ニューエイジ的な影響も強い。 精神医学関連では反精神医学のレインが結構取り上げられている。精神分析ではフェレンツィもサリヴァンもマーラーもジェイコブソン…

スピノザの世界―神あるいは自然/上野修

スピノザの世界―神あるいは自然上野 修講談社 2005-04-19売り上げランキング : 51574Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 スピノザ―「無神論者」は宗教を肯定できるか (シリーズ・哲学のエッセンス) スピノザ―実践の哲学 (平凡社ライブラリー (440)) エチ…

ことばをめぐる哲学の冒険/長谷川宏

吉本隆明ふうの言語を巡る考察。ことばをめぐる哲学の冒険長谷川 宏毎日新聞社 2008-06-21売り上げランキング : 277537Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 いまこそ読みたい哲学の名著 自分を変える思索のたのしみ (光文社文庫 は 24-1) 精神現象学 高校…

ウィトゲンシュタインの建築 新版/バーナード・レイトナー

生協で見かけたので借りてみました。生協に売ってたのは新版のようですね。ウィトゲンシュタインは工学部出身で建築にも興味があったようで、実際に彼が建築に関わった建物も残っています。これはその建物に関する書籍。 クリムトが肖像画を描いている姉のマ…

ニーチェ ― ツァラトゥストラの謎/村井則夫

ちょうどツァラトゥストラが話題に出てたときに、タイムリーに読みました。もう読んだのはずいぶん前なので読み返したくなりました。ニーチェ―ツァラトゥストラの謎 (中公新書 1939)村井 則夫中央公論新社 2008-03売り上げランキング : 141752Amazonで詳しく…