警告!あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので精神科には注意しましょう／ウィリアム・グラッサー

　何だか凄いタイトルですが、中身はもっと過激でした。過去に受けたアンケートでサイコセラピーの流派を問うところに「現実療法」という項目があったりして、存在自体は知っていましたが、こういう内容だと言うことは知りませんでした。
　グラッサー博士は精神科医で選択理論に基づいた現実療法の提唱者です。選択理論とは、簡単に言うと、自分の行動、感情などはすべて自分の選択によるものであると考えることで、やや論理療法や、アドラー派的な印象を受けます。こういうアプローチもあるかなとは思うのですが、問題は「統合失調症は精神病ではない」、「症状がどんなに重症でも薬を処方したことは一回もない」という精神科薬物療法全否定の部分です。
　確かにプロザック・ネイション、パーソナリティ障害、軽度発達障害の過剰診断など精神科業界に問題が多いことは確かですが、ここまでくるといきすぎではないでしょうか。
　さらに凄いのは、選択理論フォーカスグループというグループセッションが行われるのですが、その中でグラッサー博士は「答えはこの章のタイトルですよ」とか「今日、録音したことが5章です」とかテキストの外部に言及するのです。ドグラマグラというかアンチミステリというか、読んでいると頭がぐらぐらしてくること間違いありません。そう思うと、序文に書かれている、メニンガーのプログラムに応募したらいつのまにか入院させられてしまったサイコロジストの文章も現実なのか、妄想なのかわからくなってきて恐ろしいです。

警告!あなたの精神の健康を損なうおそれがありますので精神科には注意しましょう