精神医療
日本では封印状態の精神外科手術(脳手術による精神科治療、いわゆるロボトミー手術)の過去と現在。つい一般名としてロボトミーという用語を使ってしまうのだけれど、ロボトミーはさまざまな精神外科の一手法にすぎない。エガス・モニスがノーベル医学生理…
大阪の浅香山病院の開放化の中心になった精神科医の仲野実先生の著作。三枚橋病院みたいに院長が新設病院の開放化を進めるというのに比べて、浅香山病院みたいな大病院を地域に開いていくには様々な戦略が必要だったことでしょう。ちょっとだけご一緒したこ…
著者から謹呈いただきました。本当は春休みに書評を書く予定でしたが、大震災の対応に追われて夏休みにずれ込んでしまいました。 著者はADHD、てんかんの診断を受けている当事者の方で、大学卒業後に就職するも長く続かず、転職を繰り返し、社会的不適応感と…
カスガ先生から若い研修医へのいつものような本音一直線のアドバイス。「治らない」時代の医療者心得帳―カスガ先生の答えのない悩み相談室春日 武彦 医学書院 2007-07売り上げランキング : 69854Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 精神科医は腹の底で何…
前作は笠陽一郎先生によるPTSDを統合失調症と誤診された事例が中心でしたが、続編は発達障害が統合失調症と誤診される事例が中心。笠先生は後方支援にまわっている感じです。精神科セカンドオピニオン2―発達障害への気づきが診断と治療を変える (精神科セカ…
精神科医の春日先生の本はユーザーの方が読んだら思わずひるむような本音トーク炸裂なのですが、その春日先生のはじめて本ってどんなかな・・・と思って読んだら基本は一般書とそう変わらず・・・いわゆる「はじめて本」を予想して読むとショック受けること…
アメリカでも州によっては制度として取り入れられている精神障害当事者のソーシャルワーカー、ピアカウンセリングの可能性について。アメリカでのパイオニア、『精神障害者自らの手で』の著者、ジュディス・チェンバレンとの交流の記録など、非常に興味深い…
議論が抽象的で「」つきのキーワードが多すぎ、いまひとつ趣旨がよくわかりませんでした。 日本臨床心理学会での当事者の声などが引用されているので、何となくユーザーの権利擁護的な内容であるとは思うのですが。 内容は家族療法から精神障害者福祉手帳や…
「内気」「内向性」をDSMに盛り込もうとした製薬会社と精神科医たちへの批判本。 DSM成立の立役者、スピッツアーがもともとライヒ派の精神分析家で、ライヒのやり方でうまくいかないと手紙を書いたら核爆発による放射能落下物のせいだという返事がかえってき…
精神科臨床ノート (こころの科学叢書)日本評論社 2007-10売り上げランキング : 263830Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 思春期の心の臨床―面接の基本とすすめ方 こんなとき私はどうしてきたか (シリーズ ケアをひらく) 実戦 心理療法 新訂 子ども臨床 (…
同じ著者の「精神科医になる」の高校生向け版という感じで、インタビュー形式で読みやすいですが中身は濃いです。精神科医のイメージもいまどきのDSM、クリニック型じゃなくて、精神病理、精神科病院型ってのもいいですね。 外来の自由になる3時間で一日30分…
生涯3500人もの患者にロボトミー手術を行った医師ウォルター・フリーマンの伝記を読んだときに、彼が子どもに対してもロボトミー手術を行っていたという事実を知った。 これは12歳の時にフリーマンからロボトミー手術を受けた男性の自伝。著者はたんにロボト…
精神病院を捨てたイタリア 捨てない日本岩波書店 2009-10-07売り上げランキング : 156Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 ルポ・精神病棟 (朝日文庫 お 2-1) トリエステ精神保健サービスガイド―精神病院のない社会へ向かって 自由こそ治療だ―イタリア精神…
Shrink Rap: Surgery for OCD?
べてるの家の向谷地さんと文化人類学者、環境運動家、明治学院大学教授の辻先生との対談本。 向谷地さん、ご親族に統合失調症の方がおられるのですね。 映画「降りてゆく生き方」見てみたいです。ゆるゆるスローなべてるの家―ぬけます、おります、なまけます…
精神障害者のケースマネージメントで本人の持っているポジティブな部分に焦点をあてていくのを福祉領域ではストレングス・モデルというらしいですね。 べてるの強烈なアプローチを読んだ後だったので、あんまりインパクト感じられませんでした。ストレングス…
浜松でワークショップがあったときに向谷地さんの司会ぶりを見たことがありますけど、ほんとに優れた集団療法家だと思います。この本に書かれている家族への暴力が問題となっている患者さんに、「相談したいことがあるのですが」という切り口で関わっていく…
名大系の精神科医の書いた20年前の児童青年期精神医療。共通のようで時代の変遷も感じる。やっぱりネットの存在は病態のありようにも大きな影響を与えているかな。今は発達障害というイメージが強い杉山登志郎先生が非行のことなんか書いてて何か新鮮。 児童…
1970年代、西ドイツ、フランクフルトにおける悲惨な精神医療状況の告発の書。日本でもやっぱりこの時期に朝日新聞の記者による「ルポ・精神病棟」なんて本が出て劣悪な精神病院の状況が告発されましたね。 翻訳は残念ながら読みにくいです。「分派」って訳さ…
精神科医の本音のフィクション日記。すり減る毎日の診療、融解する公私の境界、対応の難しい患者さんへの訪問、思わず漏れる本音、患者さんの死。全然似てないんだけど奥田英朗の小説に登場するはちゃめちゃな精神科医の伊良部先生を思い出しました。開業日…
精神医療のひとつの試み/島成郎 年月を経て、精神病院の開放運動に一石を投じつづけた私の朋友、石川信義と共に、当時、砂川小学校の講堂に寝泊まりし、降り続く雨の中、デモ隊の一員として国家権力に対峙し、反安保闘争の前哨戦として、1959年11月の国会突…
時代がつくる「狂気」 精神医療と社会 (朝日選書 825)芹沢 一也朝日新聞社 2007-07-10売り上げランキング : 212625Amazonで詳しく見るby G-Tools関連商品 狂気と犯罪―なぜ日本は世界一の精神病国家になったのか (講談社プラスアルファ新書) ホラーハウス社会…